この記事ではキーボードパーツの一つであるキースイッチの種類と選び方について解説します。
初めての方は、「色々種類があって分からない」「リニア、タクタイルって何?」とキースイッチを選ぶのも一苦労です。
キースイッチを選ぶ際に考えるポイントを丁寧に解説していますので、ぜひ参考にしてください!
(おすすめのキースイッチを紹介する記事も鋭意執筆中です。)
また、自作キーボードに限らず市販のメカニカルキーボードでもキースイッチがカスタマイズ可能な場合があります。自分好みの押し心地を追求したい方もぜひ参考にしてください!
はじめに
キースイッチとは、メカニカルキーボードにおけるパーツのひとつで、可動部のパーツです。単にスイッチということも多いです。
メカニカルキーボードで「〇軸」と呼ばれているのはスイッチのことを指します。
スイッチは中にばねが入っていて、キーを押すとこの部分が上下に動きます。
キーボードにおいては、キースイッチで押し心地と音がほぼ決まると言っても過言ではない重要なパーツです。
そのため、キーボード上級者は自分の理想のスイッチを追い求め、分解してバネを交換してみたり、潤滑油を塗ったりもしています。
キースイッチを選ぶ観点
キースイッチを選ぶ基準となる観点は、以下のように様々あります。
- 形状(規格)
- 種別(クリッキー/リニア/タクタイル)
- 重さ
- 価格
- 色
- ステムの形状
- ファクトリールブ
- 材質
このように多様な観点がありますが、はじめのうちは「種別」と「重さ」に注目して選んでみることをおすすめします。
というのも、この2つによって押し心地やキーボードの使いやすさがかなり変わってくるからです。
CherryMX互換 か ロープロファイル か
早速種別の説明に入りたいところですが、その前に形状(規格)について確認しておきましょう。
キースイッチの多くは「CherryMX互換」と呼ばれる形状をしており、各メーカーから多種多様なスイッチが販売されています。
一方で「ロープロファイルスイッチ」と呼ばれるタイプのスイッチもあります。
こちらはその名の通り薄型のスイッチとなっています。
両者は物理的な形状が異なるので、残念ながら互換性がありません。
また、一部メーカーによる独自規格のスイッチも同様に他の規格と互換性がありません。
自分のキーボードがどの規格に対応しているのかを確認してから購入しましょう。
種別(クリッキー、リニア、タクタイルとは?)
それではようやく、スイッチの種別について説明していきましょう。
キーボードのスイッチは大きく「クリッキー」「リニア」「タクタイル」の3つに分類されます。
それぞれの特徴は以下の通りです。
- クリッキー Clicky
- 押すと「カチカチ」と鳴るタイプのスイッチ。
CherryMXスイッチでは「青軸」と呼ばれるものがこのタイプです。
- 押すと「カチカチ」と鳴るタイプのスイッチ。
- リニア Linear
- スイッチを押し切るまで、途中で何も引っ掛かりがないタイプのスイッチ。
CherryMXスイッチでは「赤軸」と呼ばれるものがこのタイプです。 - 底打ち音を軽減した「静音リニア」というタイプも存在する。
- スイッチを押し切るまで、途中で何も引っ掛かりがないタイプのスイッチ。
- タクタイル Tactile
- 押下の途中で特徴的なクリック感があるスイッチ。
CherryMXスイッチでは「茶軸」と呼ばれるものがこのタイプです。 - リニア同様、底打ち音を軽減した「静音タクタイル」というタイプも存在する。
- 押下の途中で特徴的なクリック感があるスイッチ。
どれを選べば良いのか
スイッチの種別を決める際に一番良いのは、当たり前ですが実際に押し心地を試してみることです。
自作キーボードのパーツとして売っていることはなくても、大型の家電量販店ではゲーミングキーボードのコーナーにメカニカルキーボードが置いてあったりします。
クリッキー(青軸)、リニア(赤軸)、タクタイル(茶軸)の分類は同様なので、とても参考になると思います。
予算に余裕がある場合は、キーテスターを購入したり、複数種類のスイッチを購入して触ってみたりといった方法もあります。
遊舎工房さんなどはスイッチ1つからオンライン購入が可能なので、1,000円ほどあれば3~5種類のスイッチを入手できます。
残念ながら実際に試すことができず、好みも全く分からないという方は、クセの小さい弱めのタクタイルがおすすめです。(市販の一般的なキーボードの打鍵感に近いです。)
もし将来的にキーボードへのこだわりが強くなったら、クリック感が不要ならリニアに乗り換え、クリック感が気に入ったのなら理想のタクタイルを追い求めましょう。
また注意点として、職場やカフェなど周囲に人がいる場所で使う場合は音に注意しましょう。
特にクリッキーはかなり音が鳴るので、控えた方が良いでしょう。
リニアやタクタイルは通常のキーボードと同じくらいのタイピング音ですが、気になるようなら静穏タイプを選びましょう。
打鍵音はYouTubeなどでも数多く紹介されていますので、そういった動画も参考にしてみてください。
重さ
次に基準となるのが重さです。
ここで言う重さとはキースイッチ自体の重量のことではなく、押したときのバネの強さのことです。
これが重すぎるとタイピングで疲れやすくなりますし、軽すぎてもミスタイプが多くなってしまいます。
とはいえ正直、カタログ値を見て判断するのは難しいです。
人によって力の強さも様々ですし、キーボードの使用用途も違います。親指と小指が同じ強さなわけもなく……と考えたらキリがありません。
初めて選ぶのであれば、極端に重すぎたり軽すぎたりしないものを選ぶのが無難と言えるでしょう。
筆者の主観にはなりますが、40~60g程度のものが標準的といった印象です。
その他の観点
種別と重さが主な決め手となりますが、その他の観点もご紹介します。
価格
スイッチに限らずですが、購入を検討する際は価格も大きな要因になるかと思います。
スイッチは1つ当たり数十円~数百円で売られています。
200円近いスイッチだと割と高級だなーといった値段感です。
多くの場合は複数個がパックとして売られていますが、遊舎工房など1個単位で購入できるところもあります。
単価は小さいですが、キーボードひとつに60~100個程度必要になるのでかなり大きな金額になります。予算や他のパーツと相談して決めましょう。
色
スイッチはケースに入れてキーキャップを取り付けると見えなくなるので、見た目はそこまで重要ではありません。
ただ、ケースがないキーボードキットや透明なキーキャップを使う場合は、スイッチも目に入るので気にしてみても良いでしょう。
また、バックライトLEDを使用する場合は、ハウジングが透明なスイッチの方が光がきれいに広がりやすいです。
ステムの形状
スイッチによっては、ステムの上部(キーキャップを取り付ける部分)の形状が特徴的なものもあります。
BOXスイッチと呼ばれ、+型の突起の周りが囲まれているものなどがあります。
これは、ステムのぐらつきを抑えたりする目的でつけられています。
キーキャップの種類によっては稀に干渉してしまうこともあるので、一応気を付けましょう。
ファクトリールブ
「ルブ」というのはスイッチやスタビライザーに潤滑油を塗る作業のことです。
ルブによって押し心地がマイルドになったり、摩擦音やカチャカチャ音が軽減されたりします。
そのため、スイッチをひとつひとつ自分で分解し潤滑油を塗る人もいます。
一方で、スイッチによっては出荷時に既にルブされているものもあり、これをファクトリールブといいます。
元からルブが施されているので、面倒な作業が不要で便利です。
ただし、あくまで潤滑油であり、ルブがされていないとキーボードとして使えないなんてことは全くありませんので、あまり気にせずに選んでも大丈夫です。
材質
ナイロンやポリカーボネート、POMなどが使われています。
気にしなくて大丈夫です。
ピン数
3ピンと5ピンがあります。
気にしなくて大丈夫です。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
スイッチを選ぶ基準は数多くありますが、結局のところ初めてのスイッチは打鍵感で決めるのが一番後悔が少ないと思います。
筆者のおすすめキースイッチをご紹介する記事も鋭意執筆中ですので、完成しましたらこちらもお読みいただけますと幸いです。
それでは理想のキースイッチ探しの旅へようこそ!